私たちがブタを殺して食べない理由
「ブタと暮らしているのでブタを食べません」
と言うと、多くのブタと暮らしていない人はこう言います。
「当たり前じゃないですか! ブタを食べてる豚飼い主なんているんですか!?」
これは不思議なことに 飼っていない人から発せられる言葉で
ブタの飼い主から発せられる言葉は以下です。
「ふつう食べるでしょ」「あなたが食べないとか 勝手だけど 押し付けないでくれる?」
「それはあなたの価値観ですよね!私たちにはブタを殺して食べる自由がある!」
「ブタを食べないと人は生存できない」 「とんかつやめられるわけないじゃん」
「うちの子さえ食べられなかったらどうでもいい」 「養豚場の子なんか殺すために居るんでしょ」
豚飼い主でない人に この話をすると大変驚かれます。
「信じられない、、、」と。
しかしある国のある都市で 「犬肉祭り」が毎年開かれることに 世界中の動物好きの方が
犬を食べないようにと署名活動をしますが
これに絶対サインしない 犬飼い主は少なくありません。
犬を食材と考えるか 人間の友人と考えるかは個人の自由である という考えです。
ブタを食う豚飼い主と同じです。
「自分の犬が食べられないのでどうでもいい」
「犬肉は命をつなぐ大切な食文化です」 「犬肉食べないと力が出ない」
「からだを温めるので女性は犬鍋をたべるべき」なのです。
倫理の話ではありません
わたしが豚飼い主に 広めたいのは上記のような倫理的理由からではありません。
工場畜産を応援することが 実際 ペットブタと飼い主にデメリットだらけだからです。
倫理道徳と人道とを語ると、多くの人が
「私は意識の低い自己中人間だからそういう高尚なことには興味がありません」と言って逃げます。
私はもっと利己的な理由で飼い主と豚のメリットのために 畜産の反対勢力になってくれるよう思っています。
ペットブタの飼い主は皆さん悩んでいますが、ブタは 満足な医療にかかることができません。
ブタは医療の世界では 実験動物なので
様々な内臓疾患についても 本気を出せば 犬より多くの症例が論文でも出てくるかもしれません。
(その多くは実験施設などが内部情報として持っているもので
飼い主や街の獣医に共有できるところにはない情報です)
ペットブタは、たかが結石程度で命を落とします。 満足な処置を受けられる病院が少ないからです。
家畜動物を見られる獣医は 産業医と言って実は多く存在します。
しかし産業獣医はペットを診ることはほぼないです。
産業動物獣医は
「動物を低ストで美味しくするための知識の蓄積」
「動物を低コストで人間の娯楽に利用するため」
「人間の害のないように動物をコントロールするため」
働く人です。
例えば感染症予防のため養豚場を管理することを 人間にして例えたら
「なるべくリビングコストを下げるため、
トイレ風呂無し窓無しのゴミ屋敷に100人の人間を監禁し、感染症を外部に漏らさない方法」
などの知識を蓄積していくようなものであり、
牛ブタ鶏が楽しく、健康に暮らすための研究ではないのです。
「牛豚鶏が快適に暮らせるように犬猫やペットのような基準で病気を治してください」
という要望が畜産現場から獣医に寄せられることは 少ないでしょう。
これは 畜産現場の人間が心が冷たいからではありません。
肉を食べたい人たちが 「極限までコストを減らせ!一円でも安く!」と望むからです。
お客様のリクエストに従っているだけで 本当はアニマルウェルフェアの概念を
日本の畜産現場に取り入れたい農場主さんもいます。
日本の消費者意識が低く、彼らがそれをマーケットに持ち込めなく断念しているだけです。
畜産動物を医療にかけるな、無駄なコストをかけるな という圧力は消費者からくるものです。
なので 家畜に対する医療レベルがペットに犬猫と同じ観点で
磨かれることはこの先もないのです。 世の誰もそれを望まないからです。
だれも望まない技術が進歩することはありません。
ブタが幸せになってほしい と思う人は「ブタを食べない飼い主」だけです。
要するに ほとんど存在していない ゼロに等しい数字です。
それとわずかな数の「動物愛護活動家」の方たちです。
おそらく日本全土に 数千人しかいません。
「犬猫だけ愛護活動家」の方たちは
豚は殺す派なので数えられません。
超マイノリティ集団です。
食べている飼い主は 畜産に自分の大切なお金を投資し
日々 ペットブタの脅威となる動物由来感染症の発生などに
加勢していることになります。
畜産業のスポンサーをしながら ペットブタの地位向上を願っても無駄です。
それは 「犬猫にもっと優しい社会をめざす会」の会員が
「オーガニック犬肉を日本に広める会」のスポンサーになるのと同じくらいばかげています。