2024/08/14 18:12

子供のころ 私はいわゆる田舎で育ちました。山の中ではないです。

新幹線、JR本線の駅、高速艇やフェリーが発着する大きな港から2㎞という
便利なところです。
現在は完全住宅地になりましたが 私が生まれた時は
近隣に数軒の民家、そしてお隣は 牛小屋でした。
これは 日本の社会で奇跡のようなことなんだと 後で気付いたのですが
わたしは 生まれて初めて牛を見た時、それは 生きていました。
モ~と大きな声で鳴き、フンをたくさんして夏はそこにハエがたくさん来ました。
乳牛だったのでいつもお乳は大きく重たく張っていて そういう「お母さん牛」
を毎日身近に感じて育ちました。牛がどうやってワラを食べるか、牛がどうやって歩くか
牛の目は大きくてまつ毛はふさふさ長くて どんなにかわいいか知っています。
大きな顔、おでこの毛が渦巻いているところを毎日のように なでなでしました。
赤ちゃんだった私は 牛と動物同士 生きている者同士 として出会い、
私の両親と叔母は「牛さんはお友達」だと言いました。
バルコニーファームに来てくれて これを読んでくださる皆さん
たぶんほぼ全員が 生まれて初めて牛に会った時 牛は死体だったでしょう。
切り刻まれた死体だったでしょう。 彼らを殺した人と 殺され刻まれた肉片として出会い
その肉片は食べ物として お皿に載っていたでしょう。そしてそれはそのあと
あなたの胃袋に入ったでしょう。

わたしは 「牛は生きている動物だ」ということを 0歳の時から五感の感覚全部で
知っている 数少ない人間として 人生をスタートしました。
たまたまの結果論ですが、わたしは40年かけてやっと この 動物との
生まれてきた時の関係に 本来 仲間であったはずの関係に戻ることができて
「本来の自分」になって 残りの半分の人生を送っています。