この小さな男の子はニルス。

スウェーデンの作家 Selma Lagerlöf
(セルマ・ラーゲルレーヴ)による

”Wonderful Adventures of Nils"

からインスパイアされています。

セルマ・ラーゲルレーヴはこの作品を書いた直後

世界ではじめて女性作家として
ノーベル文学賞を受賞しました。

ニルスに見守られてご飯を食べているブタは

スミレちゃんといいます。

悪賢い狐のスミーレ(日本版ではレックス)

が名前の由来です。

スミレちゃんはニルスの家族です。
日本では 子供のアニメとして有名ですが
スウェーデンでは
ガチョウのモルテンの背に乗って
ガンの群れと大空を旅するニルスは
クローナ紙幣の顔でもありました。
(つまり国を代表するほどの有名人です!)

Snout & Tails のニルスは、

飼い主のまなざしを象徴するキャラクター

として描かれています。

いたずらをして動物たちを困らせていたあの子

ではなく、ここでは

動物たちのそばに静かにひざまずく存在です。


ニルスは、はだしです。


靴を履かない動物たちと、

同じ目線で、同じ地面に立つために。

ニルスはスミレちゃんを守るように

静かに、ごはんを差し出しています。

長くおだやかに 同じ時間を過ごせる関係。

このごはんは

そんな距離から生まれています。

弱いものに目線を合わせることができる子、ニルス

急がないことを知っているブタ、スミレちゃん。

一緒に過ごす季節が何度も巡り
美味しいものを食べて 自然の中で遊び
たくさんのともだちと出会いながら

静かに時間が重なっていきます。

やがて スミレちゃんは
ニルスより少し先に 歳を重ねていきます。

その変化もまた この時間の一部です。

楽しい時間は 形を変えていくけれど

それは失われるのではなく つながっていくものだと

私たちは考えています。

ここにあるのは

ただ消費される命ではなく ともに過ごした時間が

積み重なっていく景色です。

動物はただ懸命に生きているだけ

私が子どもの頃 ニルスの
物語を見たとき

「動物と一緒に冒険する話」だと思っていました。

でも今は 少し違うふうに見えています。

動物たちは 冒険しているのではなく

ただ 一生懸命に生きているだけなのかもしれない。

その中に 人間だったニルスが

小さく弱い存在として入り込んでいく。

守られる側ではなく

いつ何が起きてもおかしくない側として。

物語の終わりに、

ニルスは元の姿に戻れる
かもしれない場面を迎えます。

その条件はひとつ。

ガチョウのモルテンを晩餐にすること。

でもニルスは それを選びませんでした。

元に戻れなくてもいいから

モルテンを殺さないでほしいと願った。

その選択のあと

ニルスは人間の姿に戻されます。

子どもの頃は

「いいことをしたから元に戻れた」と思っていました。

でも今は こう感じています。

動物と同じ側に立つために戻された
のかもしれない、と。

そしてもうひとつ

この場面から感じることがあります。

それは

「モルテンを食べなくても 物語はちゃんと終わる」

ということです。

私は、この物語をそう受け取りました。

そして今も

「どちら側に立つか」を 静かに考えています。

ニルスは 自分が
元の姿に戻れないリスクを顧みず

モルテンの側に立つことを選びました。

それに比べると 私たちの毎日の選択は

そこまで大きなものではありません。

何かを大きく失うこともなく

守る側に立つことを

自分の意思で選ぶことができる。

そんな場面が日々の中に
静かに残されている気がしています。

ブタのご飯とは全く関係ないのですが
ぜひ セルマ・ラーゲルレーヴの生涯について
知ってほしいと思います。
わたしは初めて彼女の背景を知ったとき
感動で震えました。
(ホント冗談じゃないですよ…!)
彼女は100年以上前の北欧の国で
足が不自由な障がい者だったにもかかわらず
国を代表する偉人になりました。
それが、苦労と試練の連続、悲壮感漂う
物語でなくて、なんともあっけらかんと
力強く成し遂げるんです。
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